コアサテライト戦略はなぜ必要か?
投資資金を主にどの株式に集中させ、それ以外はどうしたらよいか?と迷うことがあります。
そんなときに役に立つのは、コアサテライト戦略です。資産運用のメインとなる部分はコア(「中核となる」という意味)とも言います。サテライトは衛星や人工衛星の言う意味ですが、コアから離れて存在する小規模の付属物を表します。
投資の世界のコアサテライト戦略は、資産のコア(8割以上)を比較的安定している金融商品で運用し、資産のサテライト部分はリスクの比較的高い金融商品で運用するやり方です。サテライト部分は失敗しても大きな傷にはならず、うまく株価が上昇すれば儲けられます。ワンチャンスに期待する手法です。コアサテライト戦略は安定的で確実な収益とワンチャンスも活かせる投資方法です。
メリットとデメリット
・メリット
安定しているコア部分の資産が多いため、資産全体のリスクが下げられます。手数料の低いインデックス型の投資信託を買い足していくと、時間はかかりますが手堅い資産形成が可能です。
・デメリット
リスクを減らしているため、サテライトの資産の割合が低く、高い収益は上がりません。
コアサテライト戦略で買う金融商品
NISA口座だけの場合
・投資信託が対象となるつみたて投資枠に加えて、個別株も買える成長投資枠の一部をコアとして、インデックス型の投資信託(令和6年6月7日現在、236本)を買い、残りの成長投資枠をサテライトとする方法があります。つみたて投資枠は年間最大で120万までの投資が可能で、投資元本ベースで600万までつみたて投資できます。しかし、コアの投資元本が600万では少なすぎます。
そこで、成長投資枠は年間最大で240万まで投資でき、個別株や上場投資信託を買えますが、コアで買う投資信託を成長投資枠でも買い、NISA口座全体の3割程度の元本を成長投資枠で、株式やETFなどを買います。
NISA口座と特定口座を使う場合
NISA口座では、つみたて投資枠も成長投資枠もインデックス型の投資信託を1800万分毎月など定期的に買います。
特定口座では、国外外の株式、上場投資信託(ETF)を買います。特定口座では、高配当株式の配当にも売ったときの譲渡益にも税金がかかります。
コアとなる金融商品
投資信託
インデックス型の投資信託は、長期にわたる保有のため手数料が低く、長期運用が可能な投資資金(ファンドの純資産総額)が集まっている投資信託を選びます。「信託報酬」が保有期間中に必要なコストです。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がおすすめ投資信託です。S&P500指数に連動する投資成果をめざして運用を行う投資信託です。つみたて投資枠と成長投資枠の両方で投資できます。
米国企業を幅広く代表する500の企業が採用されている株価指数です。米国の株式市場全体に占める割合は82%でダントツの多さです。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)投資信託説明書(三菱UFJアセットマネジメント)より
もうひとつのおすすめは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する投資成果をめざして運用を行う投資信託です。つみたて投資枠と成長投資枠の両方で投資できます。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)投資信託説明書(三菱UFJアセットマネジメント)より
米国ETF(VYM)
おすすめなのはバンガード・ハイディビデンド・イールドETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)です(VYM)。VYMは米国株の高配当利回り銘柄を対象とする「FTSEハイディビエンド・イールド・インデックス」に連動する投資成果をめざして運用を行う上場投資信託です。上場投資信託は、金融商品取引所に上場している投資信託です。
Google Financeより
これらの投資信託とETFの買い方としては、S&P500又はオール・カントリーのどちらかを選んで定期積立するほか、VYMを配当利回り3.0%以上のときに買うのがおすすめです。投資信託は買う時期を選びませんが、VYMは配当利回りが高いときに買う必要があります。
サテライトとなる金融商品の例
ヴァンガード情報技術ETF(VGT)
VGTはバンガード社が提供するETFです。米国を中心としてコンピューターやソフトウエア、インターネット企業を投資対象とします。
Google Financeより
インベスコ NASDAQ 100 ETF(QQQM)
インベスコNASDAQ100ETF(Invesco NASDAQ 100 ETF)はNASDAQ100インデックスの投資成果に連動することを目指し運用されるETFです。
Google Financeより
投資はあくまでも自己の判断と責任のもとでお願いします。
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